教育の概要
主に医学部医学科の解剖学教育の担当ですが、他に他学部との連携コースであるヒューマンコミュニケーション、薬学部の機能形態学実習、学外講義、学外からの見学実習対応なども行なっています。また研究室配属や読書会 (文献抄読会) なども随時実施しています。
医学科解剖学
医学科の必修科目「解剖学」では肉眼解剖学、骨学、組織学、発生学、神経解剖学の講義・実習を全てカバーしており、現在本学では60分1コマの単位で310コマほどを8名で担当しています。カリキュラムが医学科1年次生の8月末から12月初旬まで集中的に組まれていること、マクロ、ミクロ、発生学を有機的に配置してクロススケールでの理解を促していること、4回の統合講義を設けて知識の統合と考え方の醸成を図っていること、神経解剖学では生理学・脳神経内科学・脳神経外科学と連携したカリキュラムを展開していること、が特徴です。
期間中に実施される4回の定期試験、31回の小テスト(マクロとミクロの実習試験) をもとに、出席、スケッチ、レポートなどを加味した総合評価を行なっています。伝統的な解剖学講義のスタイルは残しつつ、伝達する知識は必要最小限にとどめ、知識間の相関関係、背景の考え方、臨床医学への運用法などを重視した教育を実施することを理想としています。
講義の年間予定表は以下のリンクからダウンロードできます。
研究室配属
医学部医学科は一種の職業訓練校ですから、他の学部の様に卒業研究はありません。したがって新しい知を創る研究に触れる機会は極めて限られています。解剖学講座は学部学生にも門戸を広く解放していますので、研究に興味がある学生の参加を歓迎します。これまで他大学、本学で数十名の医学科学生 (外国の医学部学生を含む)の研究を指導し、国内外での学会発表、国際英文誌への発表、各種受賞、顕彰などの支援をしてきました。
研究室配属に関しての詳細は下のリンクからダウンロードできます。
大学院博士課程(解剖学)
大学院では細胞生物学を柱とした研究を通じて研究方法論、思考法、トラブルシューティング法、発表技法 (学会、論文) などを学びます。細胞生物学はどの分野でも基本となる研究手法をもつ共通領域ですので、これを学ぶことで様々な領域の研究に展開可能な基盤を形成することができます。また形態学 (解剖学)に特有の方法論として電子顕微鏡の標本作成や観察法をその基礎から習得することができます。
大学院講義としては共通科目「実験医学序論」を担当しています. ここでは研究の基本であるコントロール(対照群)の置き方、研究倫理、科学哲学、また形態学の基盤となる光学顕微鏡の原理について概説しています。また、解剖学講座に一定期間所属する大学院生 (臨床系も含む)、研究生には細胞生物学、神経科学、臨床解剖学などに関する具体的なテーマを設定の上、研究を指導します。現体制になってから2023年夏に中国からの短期留学生が細胞生物学の研究を行いました。
読書会、文献抄読会
日本の医学科は21世紀になってからMedical School化が著しく進行し、教養課程が縮小、廃止の憂き目に遭っています。専門分野のみに留まらない諸科学の知 (リベラルアーツ)はどの分野に進んでも必要な知的基盤であり、またマニュアル思考的な医学教育によって退化する判断力、思考力を強化することに貢献します。
リベラルアーツはその名の通り自由かつ批判的に思考する基盤でもあり、大学とは本来そのような思考力を醸成する場でもあります。また複数人で自由な意見を交えながら共通の文献を読解するという行為自体にはある種の知的爽快感を感じる魅力があります。興味をもった学生諸氏のコンタクトを歓迎します。
これまでに読んだ主な文献のリストは下のリンクからダウンロードできます。