医史学とバイオエシックス

バイオエシックスやその背景にある考え方は主に旭川医科大学の学部時代 (1986-1992)に哲学の岡田雅勝教授のところに6年間通って身につけました。もともと、歴史 (西洋史) や哲学には興味があったことから、そのままそれが今でも細々と続いているのがこの分野の研究ということになります。

2008年から2012年にかけては当時東京海洋大学の小松美彦教授の研究班で日本のバイオエシックス形成史を探りました。その成果を岩波書店から『生命倫理の源流』として刊行しました。また2012年から2017年にかけて名大の山田弘明名誉教授や山梨大の香川知晶教授らとDescartes, R.の医学論の翻訳と研究を行いました。その成果を法政大学出版局から『デカルト医学論集』として2017年に出版しました。

現在はDescartesの医学論考の翻訳や分析を名大の山田弘明名誉教授と行っています。またこれをベースにして解剖学の形態概念の形成に関する医史学的な研究も少し進めています。Descartesの草稿を検討すると現代生命科学の基礎概念にも繋がるような考え方の萌芽を感じることがあります。これをもとに解剖学という領域の形成過程や医学史に関しても新たな視点を得ることができます。

人文科学全般に関しては医学科の学生との読書会を山梨大学時代から継続的に行なっており、帝京大学では今年からFoucault, M.の『臨床医学の誕生』(Naissance de la clinique) を読みました。

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